藤波12球団OK、一方菅野は・・・
高校野球、大阪桐蔭が春夏連覇で幕を閉じ、次の話題はドラフトへ移った。
大阪桐蔭・藤浪はどこに指名されても良いと表明した、とニュースに出ている。
それに対するネットの反応では、やはりというべきか、比較されて批判を浴びている人物がいる。
それは巨人に拘り日ハムを蹴った浪人・菅野。
「藤浪は冷静な大人の態度だ、菅野は子供みたいにわがままだ」
ネットでは、こういう論調に染まっている。
恐らく藤浪はいくつかの球団に1位指名され、すんなりと入団することだろう。
菅野は浪人する羽目になった上、今年もどうなるかわからない。
短い野球人生、既に5年の差があり、明らかに菅野は損をしている。
しかも昨年の入団問題で親族が怒りをぶちまけ、イメージも悪くなった。
菅野の行動は、自分にとって大きなマイナスをもたらした。
しかし、だからといって菅野を批判するのは間違っている。
菅野の夢はただ野球選手になることではない。
小さいころから、伯父の居た巨人でプレーすることが夢だったと、本人は語っている。
夢が叶わなかったから、次のチャンスに賭けた。ただそれだけのことだ。
東大を受験して不合格、滑り止めの慶應は受かった。しかし悩んだ末、浪人の道を選んだ。翌年再び東大を受け、見事に合格した。
よくある話であるが、これは美談だとされる。
夏の就職活動で色々な企業を受け、不本意な企業の内定も得た。しかしどうしても行きたい業種があったため、秋まで就職活動を続け、望む企業の内定を勝ち得た。
これも美談である。
菅野のしていることは、これとどれほど違うだろうか。
今、菅野は「美談」の途上にいる。
「有難くもプロ球団様から指名を頂いたが、こともあろうか自分のエゴで断った生意気な若造」
そう考える人が、冷たい声を浴びせかける。
「プロになれるチャンスを捨て、浪人の辛酸をなめることになろうとも、ひたむきに自分の夢を追い続ける青年」
菅野の姿は、私にはこう映る。
私は菅野の引き合いに、藤浪ではなく松井秀喜選手を出したい。
年齢もあって明らかに力が落ち、昨年アスレチックスから放出された。
日本からの誘いもあったがあくまでメジャーに拘り、今年は浪人でスタート。
レイズに拾われたが、またも戦力外を通告され、再び浪人となった。
それでもなおメジャーに挑戦し続ける姿勢を、ファンは応援し続けている。
菅野の姿勢もまた、応援するに値するものではないか。