namuiru's diary

自分の思考を整理しておくためのブログ。普通からずれていることは理解している。たまには良い事を書いているかもしれない。

大津の教訓

兵庫県川西市で、高校2年生がいじめを苦に自殺した事件が連日報道されている。

滋賀県大津市の中学生が同様に自殺をしたことが問題となっていただけに、大津での反省がない、という声が多く聞かれる。

確かにその通りだと思う。

教師がいじめに対して気を配っていれば防げた可能性は十分にある。

教師は大津の教訓を生かせなかったことを、大いに反省すべきだ。

 

ただし何も教師に限ったことではない、と自分は思う。

被害者の両親、そして被害者自身も、大津の教訓を生かすべきだったのではないか。

まるで死者に鞭打つような物言いだが、この視点も欠けてはならないはずだ。

もしテレビなどでこのような発言をすればバッシングの嵐であろう。

大津の教育長のように襲撃されるかもしれない。

だがここは(ほとんど誰も見ない)個人ブログなので安心して書ける。

念のために書いておくが、蛾の死骸を置くようにひどいいじめは、加害者が「悪」で間違いないと思っている。加害者を擁護するわけでない。

 

川西市の事件であるが、学校への報告がなされたのは、他の生徒によって一度のみだったという。

その時期は6月だったそうだ。

大津事件が周知となり報道が過熱したのは、アンケート結果が公開された7月以降だと記憶している。

つまり6月の時点では、まだ教師も大津の事件を知らなかった可能性が高い。

無論、生徒やその他関係者も同様であろう。

教師が以前の訴えを思い出し、対応するのが筋なのだろうが、それがなされていなかったのならば、もう一度訴えるべきだったのではないか。

 

川西市の生徒が自殺したのは9月2日。

この3カ月の間、何もできなかったのだろうか。

大津事件が注目を浴びていた当時ほど、いじめの被害者に有利な時期はないだろう。

大津で自殺した中学2年の学生でさえ、自分で教師に泣きながら電話した。(放置されてしまったが)

しかし川西の高校2年の被害者は、このチャンスに何もしなかった。

死ぬ勇気を持っているなら、一度訴える勇気はなかったのだろうか。

大津の教訓は生かされていない。

 

被害者の両親は、葬儀において息子の友人の手紙を読み、いじめを察知したという。

逆に言えば、それまでいじめがあったことを知らなかったということだ。

息子は親に打ち明けず、永遠の別れを選んだ。

死より安らかな環境が、家庭には無かったと言えるかもしれない。

自殺するしばらく前から、息子の精神が正常でなかったことは感じていたという。

ならば息子が苦しんでいる原因を究明し、支えてやるのが親の務めではないか。

しかしそれができなかった。

大津の教訓は生かされていない。

 

いじめは被害者が悪い、という意見を見るが、私はそんな意見には大反対だ。

悪いのは原則的に加害者であり、許容されるべきでない。

しかし、自殺をするか否かの判断は、被害者に委ねられている。

自殺は被害者が悪い、という意見があれば、私はそれを否定できない。