namuiru's diary

自分の思考を整理しておくためのブログ。普通からずれていることは理解している。たまには良い事を書いているかもしれない。

辛坊治郎氏の陰

辛坊氏が盲目セーラーと共に航海に出たものの,わずか5日で航行不能に陥り,自衛隊の助けを借りて救助された.

面倒なので,知らない人は適当にググってください.

 

で,批判の的になっている.

ネットでの批判の内容を簡単にまとめると

1. たった5日で遭難した無計画性

2. 朝鮮人であること

3. 自己責任発言

 

1は責められるのもわからないではないが,事故は確実に防げるものではないので,これで批判するのはかわいそうだ.

全ては結果論.

2は論外.彼は生粋の日本人ですから.

 

さて,3が批判の核であり,今回のテーマでもある.

 

“辛坊さんを襲った9年前の「自己責任論」”

http://gendai.net/articles/view/geino/143086

 

ここに出てくる天木直人なる人物の批判を見てみよう.

小泉政権の肩を持つだとか権力者がどうとか,関係のないことを交えて批判しているところなど,レベルはそこらの掲示板の書き込みと同程度でしかないのが悲しいが,その方が私も安心して文句を書けるので丁度良い.

記事には本人のブログに書かれているとあるが,残念ながら後半は有料メルマガだったので,この記事を利用させていただく.

 

以下記事およびブログから引用

〈誰かが税金負担を肩代わりするのか。それともすべて海上保安庁海上自衛隊が国の予算で負担するのか。その場合、その他の邦人事故の場合と自己負担はどう違うのか。思い出すのがイラクで人質になった若者三人に浴びせかけられた「自己責任論」だ。当時辛坊氏は徹底的に小泉政権の肩を持つ発言を繰り返していた。その自己責任論者が自己責任を取らなくていいならこれほどの冗談はない〉

「正確な言葉は忘れましたが、あのころ辛坊氏はイラク戦争に反対している人々に厳しい態度を取っていました。人質になるというヘマをしでかすとはけしからん、と言わんばかりだったのです。彼は時の権力者側に立ちたがる人。だから弱者に厳しいのです。そもそも今回の航海については、万全の備えや訓練を積んで出発したかも疑問です。自己責任を振りかざした人が大勢の尽力によって、イラクの人質たちみたいに助け出されたとは皮肉で滑稽な出来事。辛坊氏は当分、自己責任論を語れないでしょう」

引用終わり

 

「辛坊氏はイラク戦争に反対している人々に厳しい態度を取っていました。人質になるというヘマをしでかすとはけしからん、と言わんばかりだったのです。」

この二文がつながっていないのが気に入らないが,とにかくまとめると

 

「自己責任を主張して,弱者に厳しい態度を取りながら,自分はろくな準備もせずヘマをし,他人の金である税金を使わせて助けてもらうとは何事か」

というところだろう.

 

ニュースの最後にも書かれてあるが,確かに,辛坊氏は救出費用を自己負担しなければ示しがつかない.

 

詭弁に惑わされている.

イラク人質事件について,今一度思い返してみよう.

・イラクの情勢が不安で退避勧告されている時期,イラクに居た日本人3名が誘拐された.

・誘拐犯は自衛隊の撤退を要求するが,政府はこれを拒否.

・人質の家族ら,自衛隊の撤退のデモをおこす.

・解放され帰国後,イラク派兵中止を求める裁判を起こす.

 裁判の結果,派兵中止は認められず,逆に国側の主張が通り,国が負担していた帰国費用を元人質らが支払うこととなった.

こういった経緯で,自己責任論が唱えられていた.

人質の自己責任が問われたのは,金銭ではない.

 

尤も,金銭的には人質は帰国費用を支払っているので,辛坊氏も「国に要求されれば」支払う必要があるだろう.

 

ところで,辛坊氏が人質と同じ意味で自己責任を問われるとすれば,どのようなケースになるだろうか.

例えば,事故の原因を同乗していたセーラーに全て押しつける,としたケースだ.

 

話がずれるようで,実は本題はここになるのだが,

同乗していたセーラーは盲目である.

航海に必要な全ての作業をこなすことはできず,事故が起きた場合にも対処できない.

必然的に,辛坊氏に依存することになる.

彼は自己責任を負っているのだろうか?

失敗すれば自分も死ぬのだから,自己責任だろうか?

否,成否を全て相手に任せ,自ら主体的に関与することはない.

これで自己責任を負っているとは言えまい.

 

盲目の人に,酷なことを言う,と思われるかもしれない.

障害者にも生きる権利,活動する権利はあり,可能なことは健常者が支援すべきである.

弱者である障害者を虐げるようなことは許されない.

しかし,分相応というものがあろう,と私は思ってしまう.

差別だと思っていただいても良い.

障害があるからには,何らかの支援は必要となり,それは健常者が負担せねばならない.

相手が快く支援してくれると言うのだから良いというのか.

 

障害のせいに限らず,人は誰しもできないことはある.向き不向きもある.

なればこそ,自分にできること,自分に合った道を選んで生きている.

障害を言い訳として,過剰な支援と責任の押しつけ先を得るというのは,言い方は悪いが,卑怯なことだとさえ思える.

 

ともかくも,有名人と一般人という差があると言えど,批判の対象として名前があげられるのは辛坊氏ばかりというこの状況は,あまりにも不公平ではないだろうか.