空気を読む
アイドルグループAKBのじゃんけん大会なるものが開催されたらしい。
総勢83人が勝ち抜き形式で勝負し、勝者16人が新曲に参加できる権利が与えられるという。
さらに優勝者は、新曲の顔として大々的に宣伝される。
結果、将来チームを引っ張ると期待されている人物が優勝したそうだ。
人気の人物が優勝すれば、興行的に好影響なので、運営はそうなることを望んでいるとされる。
しかも出す手が全てパーのみで優勝したため、早速出来レースとの声が挙がっている
前回の大会でも、やはり次世代のエースとされる人物が、チョキのみで優勝したようだ。
確かにやらせと疑われてもおかしくはない結果である。
が、やらせではなくとも、日本の「空気を読む」文化を考えれば、このような結果は十分起こりうるはずだ。
今回のケースでは、人気メンバーである相手はほぼ確実にパーを出してくる。
つまり、チョキを出せば勝利することができるし、グーを出せば意図的に敗北することもできる。
すなわち、勝敗は自分が自由に決定できる。
AKBに属している人間ならば、相手が勝利すること、言いかえれば自分が敗北することが、運営や多くのファンに期待されている、ということを知っているだろう。
組織の一員として、運営や次代のリーダーの不興も買いたくない。
そんな状況にあっては、たとえ負けることを命令されていなくとも、私ならあえて負けることを選ぶ。
プロ野球において、王貞治氏のもつ本塁打記録を抜かせまいとして、指示されてもいないのに敬遠し、記録更新を妨げた選手の心理に似ている。
ゆえに、今回の結果を見て出来レースだと判断するのは早計だ。
参加者達が自主的に然るべき相手を勝たせにいく、ということまで運営が計算し、やらせを命ずることなく結果を操作したのだとすれば、感服に値する。
優勝者自身がそこまで考えて出す手を絞っていたのなら、もっと面白いのだが。