~で死ねれば本望,なのか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130709-00000008-pseven-ent
父・猿翁を舞台に立たせた香川照之に「見世物にして」と非難
歌舞伎はよくわからんし,好みではないが
病で衰弱している大御所が,息子の共演したいという望みに応え
無理を押して舞台に立ったとか.
それで,弱った猿翁さんを見たくなかったと批判が一部であったとのこと.
上のサイトで記事を読んだ人のコメントの中に
「舞台で生きたものは舞台で死ぬのが本望。それをわからん記者は生き方自体をわかってない。」
というものがあった.
こういう考え方はよく見るし,多くの人が共感している印象がある.
登山家は山で死んでも本望だとか,武士は戦死こそ本望だとか
色々と言われているけれども
皆が皆そうだとは思えないし,そうであるはずがない.
船乗り本人が,「俺は海で死にたいんじゃ!」って言うのは構わないし,その気概は尊敬に値する.
しかし,そんなことを一言も言っていない人に対して,外野の人間が
「あの人は海で死ねて本望だった」
と言って勝手に美談(?)にするのは腹が立つ.
山が大好きで登山をしているけれども,死ぬ時は家族に囲まれていたい人もいるし
病気ながら無理して舞台に立ちはしたが,まだ余力があるとの計算した上での行動かもしれない.
いつもひたすら仕事に打ち込み,生き甲斐としていたが,年を取ったら仕事をすっぱりやめて,第二の人生を送りたいと願っていた人もいる.(私の叔父とか)
そもそも,死ぬことがどうしようもなく怖い人だっているはず(私です).
偉大な役者であろうと冒険者であろうと政治家であろうと
家に帰れば普通の人間だし,未練やしがらみは無数にある.
まだまだ生きて,楽しいことをしたいし,愛する人と一緒の時間を過ごしたいだろう.
悔いを残して死んだかもしれない人を,他者が安易に本望という言葉で説明してほしくない.